10月26日(木)、27日(金)に第48回日本足の外科学会が開催されました。2日目に「バレエダンサーの足を診る ~世界のトップダンサーからアマチュアまで多職種での連携~」というタイトルでバレエダンサーの足関節障害の疫学から実際の治療や予防、リハビリテーションまで、この世界で頑張っておられる先生方にお話し頂きました。
パリオペラ座で行われているチームでのトータルサポートの状況を伺い、これを機転に少しでも日本でもバレエダンサーのパフォーマンスを支える輪が広がることを願ってます!
⭐️今回は私の研究課題であるバレエダンサーのポアント時のバランス研究を紹介します⭐️
足指の形には3つあります🦶
☆エジプト型 (母趾が最も長い人)
☆スクエア型 (母趾と第2趾が同じ長さ)
☆ギリシャ型 (第2趾が最も長い人)
スペイン人を対象にした研究では7:2:1の割合でいるそうです。
過去の偉い先生の本では、「スクエア型」はポアントで立ちやすいと書かれています🤔、、、、。
これってほんと❓ってことで、
バランス計測器を使ってバレエ学校の学生さんにご協力頂き実験してみました❗️
エジプト型 VS スクエア型でポアント動作でバランス計測したところ、
😲エジプト型のバレエダンサーの方がポアントで「ぐらぐら」していました😲
これまで、バレエダンサーのバランスと足趾形態の関係については、定量的な評価が行われていませんでしたが、
私の研究では、エジプト型のダンサーはスクエア型の人に比べて少しぐらつきがあるようです。
経験のある先生方は生徒さんたちに足指の先にトウパットだけでなく、綿やストッキングの切れ端など様々な素材を使って趾先を充填するように指導されているようですが(さすがはベテランのバレエの先生て凄い❣️と感心する連続です。)
エジプト型のバレエダンサーは
🍀 足趾長のアンバランスを補正するためにトゥパッドのカスタマイズ
🍀 体幹や足部内在筋のトレーニングなどのリハビリテーションを行う
上の2点はとても大切ですね❗️
当院ではダンサーをサポートするトレーニング、トゥパットの補正をご提案しています😊
ぜひ、ご相談ください!
(参考論文)
Kizawa M, Yasuda T, Shima H, Mori K, Tsujinaka S, Neo M. Effect of Toe Type on Static Balance in Ballet Dancers. Med Probl Perform Art. 2020 Mar;35(1):35-41. doi: 10.21091/mppa.2020.1005. PMID: 32135003
⭐️バレエ教室 高槻⭐️
私が大学院生の時に始めた大阪医科大のバレエサークル🩰
当時は女医さんと(男性の整形外科医もいました、汗)手術室の看護師さんが集まって週1回、バレエのレッスンに励んでいました。
今は一般のお子さん向けのバレエ教室になっています♪
バレエは最高の情操教育!良い姿勢は一生の宝物です。
ご興味がある方は、クリニックまでご連絡ください^_^
10月26日(木)から27日(金)に第48回日本足の外科学会がグランフロント大阪で開催されます。その中のシンポジウム 2
「バレエダンサーの足を診る ~世界のトップダンサーからアマチュアまで多職種での連携~」で私が座長をさせて頂く事になりました。
今回のシンポジストは関西だけでなく首都圏でご活躍されている整形外科の先生や理学療法士の先生、私がパリオペラ座で研修した際にお世話になったスポーツ医の先生がパリから来日され講演されます。
今回はタイトルの通り、整形外科医だけでなく理学療法士、看護師、トレーナーなど患者さんを取り巻く医療従事者全体で取り組む治療が検討されます。
ダンス医学に興味がある方はぜひご参加くださいね。
初めての投稿は、バレエダンサーによく起こる「足関節後方インピンジメント」について書きたいと思います。
私自身、整形外科をしていて相談される事がよくあります。
その中には積極的な手術が進められるもの、手術しなくてもよくなるもの。
プロダンサーか競技レベルなどで手術療法、保存療法の必要度は様々です。
今日は、そんな「足関節後方インピンジメント」について論文のrevierを参考にして説明したいと思います。
【足関節後方インピンジメントの原因】
医学的には大きく分けて以下の3つが原因です。
・足関節または距骨下関節の形状
(脛骨天蓋の形状、関節ねずみ、色素性絨毛結節性滑膜炎、靭帯性のもの)
・骨性
(スティエダ結節、三角骨、セファード骨折、大きな距骨後突起、長母趾屈筋腱の骨化、余剰骨)
・軟部組織
(長母趾屈筋腱の腱鞘炎、滑膜炎)
「足関節後方インピンジメント」を起こす約60%はダンスが原因となります。(後は、サッカー選手のインステップキックが原因と言われています)
【手術治療】
海外の論文では手術の所見から全体の81%は骨性、42%に軟部組織の問題があったと報告されています。
手術治療は
・ 直視下手術(1後内側、2後外側アプローチ)
・鏡視下手術(距骨下および後外側、後外側2箇所、後内側2箇所)
術者の最も良いと考える方法で行います。
最近では、カメラ技術の向上で多くの先生が鏡視下手術で手術されています。
また、手術後には必ずリハビリは付いてきます。術後のリハビリはとても大切です。手術した足だけ余剰な骨や靭帯が無くなったからといって、直ぐに踊れる訳ではないので傷口が癒えたら、非荷重のトレーニングから開始し、新しくなった足を上手く使いこなすようにリハビリテーション治療を頑張ることが大切です。
【保存療法(手術しない方法)】
・安静(バレエダンサーには少々辛い)
・テクニックを改変する
・理学療法
・足底板やインソールを使う
・鎮痛剤注射(麻酔薬やステロイド)
保存療法は安静が基盤にあるので、バレエダンサーには少々辛いかと思いますが、私の考えとしては1、2回の注射で改善するケースもあり治療の選択肢として大切です。三角骨は必ずしも大きいから症状が出る、小さいから症状が出ないという訳ではありません。あと、ポアントテクニックや甲の出し方(特に甲がよく出るダンサーでは小さい骨でも症状が強く出ることは大いにあります)保存療法の2番目に書いたテクニックの改変というのは、そういった意味も込めてのものです。