初めての投稿は、バレエダンサーによく起こる「足関節後方インピンジメント」について書きたいと思います。
私自身、整形外科をしていて相談される事がよくあります。
その中には積極的な手術が進められるもの、手術しなくてもよくなるもの。
プロダンサーか競技レベルなどで手術療法、保存療法の必要度は様々です。
今日は、そんな「足関節後方インピンジメント」について論文のrevierを参考にして説明したいと思います。
【足関節後方インピンジメントの原因】
医学的には大きく分けて以下の3つが原因です。
・足関節または距骨下関節の形状
(脛骨天蓋の形状、関節ねずみ、色素性絨毛結節性滑膜炎、靭帯性のもの)
・骨性
(スティエダ結節、三角骨、セファード骨折、大きな距骨後突起、長母趾屈筋腱の骨化、余剰骨)
・軟部組織
(長母趾屈筋腱の腱鞘炎、滑膜炎)
「足関節後方インピンジメント」を起こす約60%はダンスが原因となります。(後は、サッカー選手のインステップキックが原因と言われています)
【手術治療】
海外の論文では手術の所見から全体の81%は骨性、42%に軟部組織の問題があったと報告されています。
手術治療は
・ 直視下手術(1後内側、2後外側アプローチ)
・鏡視下手術(距骨下および後外側、後外側2箇所、後内側2箇所)
術者の最も良いと考える方法で行います。
最近では、カメラ技術の向上で多くの先生が鏡視下手術で手術されています。
また、手術後には必ずリハビリは付いてきます。術後のリハビリはとても大切です。手術した足だけ余剰な骨や靭帯が無くなったからといって、直ぐに踊れる訳ではないので傷口が癒えたら、非荷重のトレーニングから開始し、新しくなった足を上手く使いこなすようにリハビリテーション治療を頑張ることが大切です。
【保存療法(手術しない方法)】
・安静(バレエダンサーには少々辛い)
・テクニックを改変する
・理学療法
・足底板やインソールを使う
・鎮痛剤注射(麻酔薬やステロイド)
保存療法は安静が基盤にあるので、バレエダンサーには少々辛いかと思いますが、私の考えとしては1、2回の注射で改善するケースもあり治療の選択肢として大切です。三角骨は必ずしも大きいから症状が出る、小さいから症状が出ないという訳ではありません。あと、ポアントテクニックや甲の出し方(特に甲がよく出るダンサーでは小さい骨でも症状が強く出ることは大いにあります)保存療法の2番目に書いたテクニックの改変というのは、そういった意味も込めてのものです。